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◆ 各製品の遮熱効果に関する報告書 ◆

静岡大学名誉教授 中山 顕
2021 年 1 月 28 日

1.各製品の遮熱効果に関する温度測定


測定はすべて恒温室(室温 16 度)で行った。まず、パラボラヒーターを 800W に設定し 3時間ほど発熱させ熱的に安定な状態にした。次に、ヒーターから 2 2 c m 離して、各製品で表面を処理したプレートを垂直に設置した。設置直後からの熱電対を貼り付けた裏面の温度の時間履歴を、デジタルサーモメターを介しデータロガーに取り込んだ。プレート設置後、約 15 分程度で熱平衡状態に達し、裏面の温度が一定となることを確認した。

ヒーターの商品仕様
消費電力  400/800w
電気代   約 21.6 円/時(800w 時)
サイズ   約幅 42.2×奥行 32.8×高さ 46.4cm

図 1 加熱ヒーター

(a) 各プレートの裏面

(b) 各プレートのおもて面(ヒーターに対面する面)

図 2 各製品でおもて面を処理したプレート

図 2 各製品でおもて面を処理したプレート

図 3 温度測定

各製品における設置後の温度履歴

遮熱塗料の 2 製品に比べ、遮熱シートのサーモバリアの温度が低く抑えられていることから、その遮熱効果が際立っていることが分かる。ヒーターからプレートに流入する熱は、熱平衡状態において、プレートと周囲の温度差および熱伝達率との積に比例する。熱伝達率は 3 製品においてほぼ同じと考えられるから、ヒーターから流入する熱は、プレートと周囲の温度差に比例すると考えることができる。従って、以下に示すように、サーモバリアを表面に張ることで(約 2 4℃)、遮熱塗料を塗布した場合(約 6 7℃)に比べ、流入熱量を約16%に抑えることが可能であることが分かる。

Q サーモバリア

Q 遮熱塗料

​=

24-16

​67-16

​=

0.16

3.サーモグラフィによる各製品の温度の可視化

以下のように、サーモグラフィを設置し、各プレートの裏面温度の可視化を行った。なお、裏面を黒く塗ることで、同じ条件で温度が可視化できるよう配慮した。

(a) サーモグラフィの設置

(b) 裏面温度の可視化

図 4 サーモグラフィによる温度の可視化

4.結論

​サーモバリアを放射熱源に対面するプレートのおもて面に張ることで、放射熱を大幅に遮断することができる。遮熱塗料に比べても、サーモバリアの遮熱効果は極めて優位である。
今回実施したヒーター加熱による温度測定による概算の結果、サーモバリアは遮熱塗料に比べ、流入熱量を約 16%に抑えることが可能であることが判明した。

◆ 屋根面積と壁面積の比率による電力削減率について   ◆

計測実験データによれば、サーモバリア処理を施し天井雰囲気温度を5℃低下させることが期待できる。今、大雑把に、熱負荷がほぼ面積に比例するとすれば


屋根からの流入熱:Q
壁の流入熱:(4*100*A/(100*100))Q=0.04A(m)*Q


また,輻射伝熱が支配的であるとし、室温28度の部屋への輻射熱流束は、絶対温度(絶対温度T=摂氏温度+273)の4乗に比例することに留意すると


熱負荷低減率=(Q(40度)-Q(35度))/(1+0.04*A(m))*Q(40度)
=((273+40)**4-(273+35)**4)/((1+0.04*A)*((273+40)**4-(273+28)**4))=0.431/(1+0.04A)


消費電力と熱負荷が比例関係にあるとすれば,以下の図の屋根と壁の比率から下記の電力削減が期待できる。

屋根面遮熱施工.png

注:あくまでも熱負荷が面積に比例するとした際の例で,実際は室内および周囲の熱環境に左右されることに留意されたし。

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